それは、ある日のレートでの出来事。
シーン1
貴方は機械自然ドラゴンを使用し、相手プレイヤーのAFネメシスと対戦していた。加速多めのハンドで盤面を犠牲にしつつロケットスタートを決めたものの、相手もアーティファクト横並べから《シオン》→顔進化という勢いのあるプレイで貴方のライフは僅か5まで追い詰められていた。
待望の7PPをようやく迎えた貴方は祈るように先手5《神》を投げると、幸運なことに《嵐鉄の竜人》を引きこむことに成功する。
盤面の全処理は確約された一方で、回復カードの獲得には失敗してしまった。幸い、前ターンの対戦相手のプレイは《マグナジャイアント》＋《シオン》、一度使用した《アーティファクトの同調》のチョイスは盤面に出ている《アナライズアーティファクト》であることが確定しており、次のターンに貴方が死ぬことはないだろう。
補足すると、相手はここまでに《キャットガンナー》を1枚プレイしているため、《機構の解放》*3→《エンシェンドアーティファクト》→《アーティファクトの同調》で《レディアントアーティファクト》を手札に→《エンシェンドアーティファクト》→《レディアントアーティファクト》の手順でリーサルを取られる可能性もあるが、もしそうされた場合は、ブログに書けば回避できるため問題なしと貴方は判断した。
問題
手札の2/2（ヴェロキラプトル）は出すべきか？
回答
出すべきである
理由
《嵐鉄の竜人》を進化させ《ヴェロキラプトル》を展開した場合、盤面の合計攻撃力（進化前）は18となる。相手プレイヤーが盤面ロックを選択してきた場合は盤面のフォロワーを進化させることで相手リーダーのライフを削り切ることができる。仮に3PP余らせの《コンセントレイト》のみでターンを終了し、ライフを20まで引き上げたとしても問題なくリーサルとなる。相手としてはロックすることはできない。
そして、盤面を処理された場合は1面以上空くことになるため、手札の《プレシオサウルス》を進化させライフを2点回復させることで相手の《レディアントアーテイファクト》進化打点の圏外へ逃げることができる。
以上の二点より、2/2を出すことに裏目はないと判断し、貴方は手札の《ヴェロキラプトル》を展開することを選択した。
シーン2（シーン1の続き）：
この環境を象徴するトンデモムーブを展開し勝利を確信した貴方は、鼻歌交じりにツイッターを1分ほど巡回すると再び画面に目を戻す。盤面は5面埋まったままだった。相手はサレンダーを選択したのだろう。貴方は潔い対戦相手にトドメを指すべく盤面のフォロワーにカーソルを伸ばそうとしたところで、ある『違和感』に気づいた。
！？
！！？？
わ、忘れてた～～～～～～～～！！！
なんということだろう。さきほど貴方は『盤面を処理された場合は1面以上空くことになる』という理由で《ヴェロキラプトル》の展開を選択したが、『プテラノドンはラストワードでナテラの大樹を盤面に残すためロックが継続される』という効果を失念していたのだ！
対戦相手は貴方が完璧に組み上げたかに見えたロジックの中に僅かなほつれを見出すと『盤面ロックを継続しつつ盤面の合計攻撃力を20から18に落とす』という神の一手を通すことに成功していた。
しかも対戦相手は5ターン目にデッキに残り2枚の《アーティファクトの同調》を引き込むことに成功しており、貴方は鼻歌ツイッター巡回から一転して死の淵に立たされていた。
プレイ時間は残り90秒。限られた時間を使って貴方は最適な選択肢を選び取る必要がある。
問題2：
生きろ！！
シーン2（再掲）：
白悠咲美の実践思考手順：
①前のターン、盤面放置の場合はリーサルを想定していたが、不運なアクシデントによってロック継続のまま盤面の打点が削がれてしまい、リーサルではなくなってしまった。
②手札を再確認。唯一光っているカードがあることに気づく。アクセラレート状態の《ジェネシスドラゴン》だ。やった、これでフォロワーを自爆させることで盤面ロックを解除できるぞ！！
③しかし、盤面ロックを解除することに成功したとしても《ジェネシスドラゴン》は効果発動時に最後のEPを消費してしまう。そのため、《プレキオサウルス》に進化権を使うことはできなくなってしまう。
④《ジェネシス》→《神》のルートを検討開始。デッキに残る回復手段は3枚の《荒野の休息》と2枚の《デュアルエンジェル》。デッキ内の残【自然機械】カードの枚数は24枚のため、仮に7枚融合させた場合、指定した5枚のカードを1枚でも引ける確率は約85%。
⑤一応、最悪15%を引いた場合についてシミュレーション。《神》後の《マナ》を2枚以上引き込むことができた場合、2PPの状態で追加で1ドローができる。一方で、《デュアルエンジェル》の自然カウントが足りず回復が不発に終わる可能性もある。それぞれの確率を計算している時間は残されていないため、トータル約85%のままとして《神》択に向けて最終検討フェイズへ。
⑥ここでふとあることに気づく。
！？！？
プレシオ無料進化できるやんけ！！！！！！
ターン開始時にPP9だったため、頭から《プレシオ》のHiddenSkill【無料進化】を完全にド忘れしていたが、ジェネシスを使う直前で気づくことに成功する。このターン2点回復できる確率が約85%から100%になり、私は勝利を確信した。
白悠咲美の回答：
《ジェネシス》アクセラレート使用→《プレシオ》進化で《プテラ》を捨て二点回復。
シーン3（シーン2の続き）：
貴方は機械ビショップに勝るとも劣らない難解なシーンに直面したが、持ち前の高度な頭脳で演算完了に成功すると、《ジェネシス》にカーソルを手を掛けようとした、その時だった。
まだ何もしていないのにオーキスが突然爆発した。
回復されることを悟ったか？ しかし、盤面が埋まっている自然機械ドラゴンは《荒野の休息》しか回復手段を持たない。相手はこちらが回復がなければ返しに見えている《レディアントアーティファクト》でライフ5を削り切ることができる。窮地の中で一筋の光明を見出したにしては、諦めが早すぎではないだろうか。よって、こちらの手札に【回復択】があると察知してリタイアを選択したという線はあまり現実的ではない。
となれば何が理由だろうか。貴方は疲れ切った脳細胞に再び血液を送ると必死に思考を巡らせ、やがて一つの結論に辿り着いた。
もしかして、さっきの盤面そのまま殴るだけでリーサルか・・・？？
いや、そんなはずはない。盤面の合計打点がフォロワー5面状態で20であることは何度も計算した。間違うはずがない。そこからプテラの2点分を間引かれたとすれば、20-2＝18で残存打点は18点。小学生でもできる計算だ。
貴方は対戦相手の残した【最後の謎】の答えを追うべく、神DCGのシャドウバースが誇る神機能【リプレイ】を使用し数分前の死闘を回視することにした。毎回ターン開始時に早送りボタンを押させる謎の不自由さに辟易しつつも、運命の6ターン目までシーンを進めた貴方は。
そこでようやく【真実】に辿り着いた
『どう見てもリーサルなのに数も正しく数えられず90秒フルで使って考えていた結果、対戦相手からリタイアされた件について』、終。
