白悠咲美のブログ

主にゲーム、マンガ他なんでも垂れ流します。

【AdK2021】シャドバがソシャゲになった日~Ratings for Shadowverse1年間辞めてみた~

 こんばんは、白悠咲美です。

 

 本記事は、Tobyさんが企画したシャドバアドベントカレンダーの3日目記事となります。2日目のQ&Bさんからバトンが回ってきました。

 まだまだカレンダーには空きもありますので、気になる人はぜひ。

 

adventar.org

アドカレのURLはこちら

 

Q&Bさんの記事はこちら

■本記事の概要

 Cygamesの対戦カードゲーム”Shadowverse”の非公式対戦ツール「Ratings for Shadowverse」から距離を取りソシャゲのように遊ぶようになった筆者が、シャドバをソシャゲとして遊んだ結果、令和2年のシャドバがソシャゲ化していることに気づいた、という話。

 

 前半がしょうもない自分語り、後半がしょうもない話なので、自分語りが面倒な人は次の目次の「物語とキャラクターと関係性」からどうぞ。

■目次

■Ratings for Shadowverse(以下レート)って何?

 シャドバの競技環境は少し特殊なので、知らない人に向けた説明。

 

 シャドバのランクマッチはデッキを1つ用意して対戦するBO1形式が採用されている。その一方で、JCGやRAGEといった大型大会ではデッキを2つ用意して対戦するBO3形式が採用されていることがほとんどである。

そのため、多くの競技プレイヤーが大会に向けた調整や普段の研鑽として活用しているツールが、冒頭に挙げた「Ratings for Shadowverse」というマッチングツールとなる。

 

 レートでは、マッチング機能の他、プレイヤー同士が入力した対戦結果からレートを算出しランキング化する機能も存在している。ランキングと聞いてゲーマーが燃えないわけがない。各レート期間ごとの上位16名には「レート杯」という大会の切符が与えられ、競技シャドバ勢からするとRAGE上位入賞などと並んで最高峰の名誉の一つとされている。

 

 ちょうど今日レート杯の配信が行われている。気になった人はチェックしてみてもよいだろう。

 

 

 誰でも常にハイレベルな対戦環境に身を置ける魅力の反面、弱肉強食のレートの世界ではランクマッチで自信を付けたプレイヤーが粉々にされ、またレート内で勝ち越しているプレイヤー達でも、多少勝った程度ではランクインできる気配が全くない上位層の厚さに絶望することもある。

 

 かくいうシャドバアドカレを企画したToby氏も、レートを通じて胃を傷つけることに成功したプレイヤーの一人である。彼の文字通り身を削る取り組みについての詳細は下記の記事を参考にするといいだろう。

 

toby4108.hatenablog.jp

 

色々と書いたが、一言でいえば少年マンガによくある「裏闘技場(合法)」だと思ってもらえればよい。

■筆者のレートに対する取り組みと、距離を取った理由

 筆者(白悠咲美)もリリース当初からそれなりに気合を入れてシャドバに取り組み続けてきており、レートにもそれなりに精力的に参加していた。それなりに結果を残せたこともあれば、ランキングから転げ落ち文字が読めなくなるほどのショックを受けたこともあった。そのたびに「二度とレートなんかやらねぇ!」とキレては、次のレート期間が始まればいそいそとマッチングボタンを押すような、いわゆるどこにでもいるような競技プレイヤーの一人だったと思う。

 

 距離を取ることを決意したのは2020年10月、いつものようにランキングから転がり落ちた私はいつものようにキレ散らかしていた。

 

「もう二度とレートなんかやらねぇ!!」

 

 ふと、実際にレートをやらないとシャドバがどれくらい下手になるか興味が湧いてきたので、実際に1年間やらないでみることにした。

 

 実際にやっていない証拠として、現時点のレート戦績のスクショを掲載しておく。

 

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 第14期前半(2020年10月)以降の記録は一切残っていない。

■やらなくなってみた結果

 空いた時間でノベルゲーをたくさん遊んだが、そのへんは割愛して、2021年のRAGE大会結果を記す。

 

  • RAGE Spring:5-1 6-2
  • RAGE Summer:1-2
  • RAGE:Autumn:5-1 0-2
  • RAGE Winter:1-2

 

 結果:大会戦績は正直そんなに変わらずそれなりのままだった。

 

 が、それなりの戦績な一方、シャドバの実力がすっげーーーーーーーーーーーーーーヘタクソになった自覚を感じるシーンはものすごく増えた。

 

 特にRAGE Summerで使用した庭園ドラゴンやWinterで使用したイザベルウィッチのプレイは本当に酷く、数多くの分岐を全て間違った結果、ボロクソにされて敗北した。筆者はミスっても恥じることはないと胸を張るタイプのプレイヤーだが、この時ばかりは配信卓に映らなくて良かったと心から安堵した。

 

 ただ、その一方でそこまでミスをしないデッキが存在することにも気づいた。ベイリオンロイヤルやラスワ系ネクロなど、ゴールに向けて突き進むタイプのデッキを使用する際は、これまでの経験や知識を活用できるシーンが多いと感じた。

 

 これらのデッキの違いは何なのかを考えることで、令和2年のシャドバが持つ「難しさ」の正体を解き明かすことができるのではないだろうか。

 

 色々考えた結果たどり着いたのが「シャドバが恋愛ADV(ギャルゲ)からソシャゲになった」という真実であった。

■物語とキャラクターと関係性

 ここからの話を説明する上で必要不可欠な「物語」について、良い感じに解説してそうな記事を探したら見つかったので、引用する。

 

www.kazz-spot.com

 

 詳細は読んでもらうとして、ざっくり書くと、

  • キャラクター:要素と状態で構成された人物
  • 関係性:キャラクター同士の関係

 となる。

 

 要素とは例えば「ツンデレ」「笑顔」といった属性を指し、関係性とは「好き」「嫌い」「尊敬」といった感情から「同僚」「友人」といった社会的な関係も含んでいる。

 

 キャラクターと関係性を組み合わせることで物語が生まれ、物語によってキャラクターと関係性が流動していく。この一連のサイクルによってストーリーが進んでいく構造となっている。

 

 ここでギャルゲとソシャゲの違いについて本記事中では以下のように分類した。もちろん、いくらでも例外がある。

  • ギャルゲ:物語主体。物語を成立させるためにキャラクターと関係性が配置される。
  • ソシャゲ:キャラクター主体。まずキャラクターがあり、各要素から他キャラクターとの関係性を考えて物語が作られる。

 

 つまり、「シャドバがソシャゲになった」とは

「シャドバのデッキ構造が物語主体からキャラクター主体に変化した」

と言い換えられる。

 

 ここまで読んで全くピンときていない読者が大半だと思うので、実際にシャドバのデッキで例を挙げる。

 

■①代表的な恋愛ADVデッキ:自然ドラゴン

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 自然ドラゴンは旧時代(正確には第三期)のシャドバを象徴するデッキの一つだ。

 

 デッキプランは非常に明確で、

  • ①PP加速する
  • ②ヴァイディ出す
  • ③なんやかんやして勝ち

 となる。

 

 これを物語文脈で言い換えると

「伝説の樹の下でヴァイディに告白した後、モブに祝ってもらってハッピーエンド」

となる。

 

 このデッキの物語は常に一貫しており、サブヒロインはほぼ存在しない。ヴァイディ以外のデッキ内のカードは「モブ」か「他人」か「竜の託宣」のみだ。

 

 多少の違いはあるものの、どのデッキを相手にしても物語が変わることはない。プレイヤーは、例えデッキを使用したことがなくても、この物語さえ共有してもらえれば、自然とプレイ/マリガンが定まることになる。(自然だけに)

 

 続いて、時を現代に移して2つのデッキを紹介する。

 

■②高度な恋愛ADV:アリアエルフ

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 アリアエルフは最新環境でも使用されているデッキの一つで、超強力なアリアの進化能力を基点としつつ、疾走カードでライフを詰めていくデッキとなる。前述した自然ドラゴンとアリアエルフは、強固な看板メインヒロイン(ヴァイディ/アリア)が存在している点は変わらないものの、大きな違いがある。

 

 それは、独立したサブヒロインと周囲の物語が別軸で展開されている点だ。メインヒロインを攻略せずとも、ややガラの悪いサブヒロインやその取り巻きをうまく制御することで、アリアの存在なしでもハッピーエンドを迎えることができる作りになっている。

 

 すなわち、キャラクターと関係性で構成される物語を大きな一つのキャラクターと見做して、物語同士の関係性を通じて更に大きな物語を作っているのが特徴である。これは大河ドラマなどでも採用される手法である。

 

 これを物語文脈で置き換えると、

「森立エルフ学園を舞台として主人公を中心に展開される学園日常物ラブコメ」

となる。図らずも恋愛ADV文脈でエルフの名が登場することに筆者は感動を禁じえない。最高のコンテンツを提供するCygamesはここまで考えていたのか。

 

 しかし、アリアエルフも物語はある程度基盤がしっかりしており、マリガンプレイもアリアを中心としたものにすればよい。問題はこの次に紹介する進化ネクロとなる。

■③現代のソシャゲ:進化ネクロ

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 進化ネクロの関係図を示す。見ての通り、キャラクターの間に関係性は明示されていない。

 

 前の章で、ソシャゲについて「キャラクター主体」と述べた。すなわち、物語はなく用意された関係性も希薄な状態から、プレイヤー自身がキャラクター同士の関係性を見出すことで物語を創造し楽しむ作りなのがソシャゲである。

 

 進化ネクロはまさにそのソシャゲの構造と同じで、様々な能力を持つカード達を自在に組み合わせることで多様なゲーム展開を生み出すことができる。もちろん、最終的にはラスボスであるグリームニルが試合を決めることは多いが、そこに至るまでの過程はプレイヤー自身に委ねられる。

 

 このようなデッキを回すためには、登場人物だけでなく時代背景(環境メタ)の深い理解が必要となる。そのため、競技環境から離れていた筆者が同じくソシャゲタイプのデッキであるイザベルウィッチや庭園ドラゴンを十分に扱えなかったことも仕方のないことだろう。

 

 このデッキを一言で表すと

「ネクロ娘ンセスブルファンタジー」

となる。そこに明確なストーリーは存在しない。プレーヤーの力量次第で1にも10にもなるのがソシャゲ型デッキの大きな特徴だ。

■最後に:大局観について

 ここまで書いていて、一つ分かったことがある。最近シャドバ界隈でよく話題に挙がるバズワード「大局観」とはソシャゲ型デッキを扱う能力、すなわち「物語を作る能力」に他ならない

 

 与えられたストーリーをなぞるだけのプレイヤーは、悪ガキと27才OLからおねショタを見い出せることもなければ、チャラ男と女友達の間で密かに築かれていた純愛を悟れず敗北していく。

 

つまり、

「大局観がない」とは「おねショタと純愛に鈍感」と同義

である。

■終わりに:宣伝

 いかがだったろうか。

 

 この記事が、シャドバプレイヤーの大局観の向上に貢献できれば筆者としてこれ以上の幸せはない。

 

 次のアドベントカレンダーはGarbageさんです。たぶんURLはここ。

note.com

 

それでは。